業務案内 賃料増減額訴訟

  • 「対象不動産の利回りの上昇・価値の上昇」
  • 「固定費の削減」

1.賃料増減額訴訟

賃料増減額訴訟とは、借地借家法において、賃料の増減額を行うことができる賃料(家賃、借地借家法32条、地代、同11条)に関し、これを増額・減額する訴訟です。

2.賃料問題の重要性

賃料増額は、「賃貸人の視点」から見ると(オーナー側)、「対象不動産の利回りの上昇」、ひいては「対象不動産の価値の上昇」へ結びつきます。

賃料減額は、「賃借人の視点」から見ると(テナント側)、「固定費の削減」、「経常利益の増加」に結びつきます。

不動産も財の一つとして、その価値は経済の変動の波にさらされています。不動産の価格決定の特徴は株式のような市場が無く、個別的取引によってなされるところにあり、分かり難いところにあります。そして、その財としての特徴は、どれ一つとして同じものはなく、その価格評価において、対象不動産の存在する地域の分析及び個別分析が重要であるところにあります。適正賃料評価も地域分析、個別分析が重要です(一般論ではなく、常に、個別・具体的評価・対応が必要です)。

経済状況が絶えず上下動する中、期を逸することなく、現行賃料を、適正経済賃料へ是正(増額・減額)することが、オーナー側、テナント側の双方にとって、重要な課題となっています。

ですから、一般論を個別事案に杓子定規に当てはめることはできません。好景気時にも、減額すべき事案もありますし、不景気時にも増額すべき事案もあります。事案毎の検討が重要です。

3.賃料問題の議論の整理

賃料増減額に関する問題・訴訟は、次の二段階に分かれて議論されます。つまり、

「適正経済賃料」に関する判断・評価の問題、
主として不動産鑑定士が判断する分野、

そしてこれを踏まえた、

「相当賃料」に関する判断・評価の問題、
裁判官が、適正経済賃料を踏まえて、更に、対象不動産の契約内容の個別性、具体性を斟酌して判断する分野、

です。

これまで、判例にもしばしば登場する、所謂サブリース賃貸借、オーダーメイド賃貸借、特殊な契約条項の存する賃貸借等の問題は、上記のうちの、②「相当賃料」の判断に関する問題です。

これは、当事務所も数多く手がけて参りました分野です(最高裁サブリース判決、横浜倉庫事件・センチュリータワー事件、判例タイムズ1140号・P65以下、P75以下、判例時報1844号・P37以下、P50以下、その他)。

4.訴訟を見据えた「賃料増減額交渉のアシスト」と「賃料増減額訴訟」

(1)
当事務所では、上記のうちの、①「適正経済賃料」に関する判断・評価の段階から、不動産鑑定事務所と連携をとり、チームを組んでおります。そして、チームとして、訴訟をも見据えながら、案件対応にあたっております。
つまり、賃料に関する交渉をなすか否か、の事業仕分けの段階から、訴訟をも見据えつつ、依頼者をアシストしております。
(2)
訴訟に発展した場合、大規模事案であればある程、裁判所は「中立的な立場」から不動産鑑定士を裁判所鑑定人として選任します。よってまた、この裁判所鑑定人の「中立的な立場」故に、裁判所鑑定の内容・結果に関しては、事実上の問題として、証拠価値の一般的優位性があると言われております。
 ただ、ここで、「留意」されねばならないことは、
 裁判所鑑定人が「中立的な立場」に立つという問題と、
 その鑑定内容・結果の「適切性」の問題とは、
 問題の「平面を異にしている」ということです。

当事務所は、裁判所鑑定の内容・結果に関しても、不動産鑑定事務所と連携し、チームとして、是々非々の対応、訴訟行為を尽くしております(東京高裁平成19年(ネ)第1012号平成19年9月12日判決、判例時報2027号・P19、その他) 。